オスグッド病の原因・症状・治療・ストレッチ・全知識

皆さんの子供が「膝が痛い」と訴える事はありませんか?

成長するときに起こる「成長痛」だと放置してはいけません。
10代のスポーツをしている子供の場合はオスグッド病を疑いましょう。

オスグッド病の治療とリハビリ・ストレッチ全て教えます。

オスグッド病は膝の曲げ伸ばしを多くするスポーツで起こります。
ほとんどのスポーツで膝は使うため比較的多く見られる障害です。

今回はオスグッド病について解説していきます。

オスグッド病とは

成長期の10〜16歳のスポーツをしている子供に見られる膝のお皿の下あたりが痛む病態です。正確にはオスグッド・シュラッター病といわれています。

オスグット

膝のお皿の下に注目!

脛骨(膝の下の脛の骨)が筋肉に引っ張られて突出してくるため、お皿の下に骨の出っ張りが出現し、運動時や圧迫した際に痛みを生じます。

1903年に整形外科医のロバート・ベイリー・オスグッドと外科医のカール・シュラッターが別々に症例を確認したためこの名前がつけられたといわれています。

オスグッド病の症状

膝のお皿の下の脛骨の部分に痛み、熱感、腫れを認めます。

脛骨が突出して隆起という硬い盛り上がりが出現するのが特徴です。

運動をすると痛みを生じ、休むと痛みは和らぎますが運動を再開するとまた痛みを生じます。

オスグットのレントゲン

膝のお皿に出っぱりが出来てしまう

骨の隆起が大きくなると痛みで膝を床に着く事が困難となります。

なぜ膝の下が痛くなるのか?オスグッド病の原因

オスグッド病の特徴である脛骨の突出はどうして起こるのか、そのメカニズムを解説していきます。

太ももの前面にある大腿四頭筋は、一般に膝のお皿といわれている膝蓋骨に付着します。

そしてその膝蓋骨から膝蓋靭帯を介して、脛骨に付着します。この膝蓋靭帯が脛骨の付着している部位を脛骨粗面と呼びます。

膝の曲げ伸ばしをすると大腿四頭筋が伸び縮みするため、この脛骨粗面を引っ張るようなストレスが生じます。
この繰り返し引っ張るストレスがかかる事で骨が剥離してしまうのがオスグッド病のメカニズムです。

オスグッドになりやすい人の特徴

●大腿四頭筋が硬い人

●成長期の子供(骨に軟骨組織が多い脆弱なつくりになっている為)

筋肉をゴムだとイメージしてみて下さい。伸び伸びの柔らかいゴムと、硬いゴムで引っ張った時、強い力が伝わるのは硬い方だと簡単に想像できると思います。

オスグッドになるのは子どもだけで、骨の成長が終わる20歳前後ではオスグッド病にはなりません。

骨の突出は、一度突出してしまうと元には戻らないので大人になっても骨が出た状態になってしまうので早期の発見、治療が大切です。

身長が急激に伸びている子供はオスグッド病になりやすい

成長期では急激に身長が伸び、1年で10cm身長が伸びたという子も珍しくないかと思います。

しかし、骨が伸びたとしても筋肉の成長が追いつかずに骨と比べて筋肉の長さが短くなってしまう事が起こります。
筋肉が伸びにくい事が硬さの原因となります。

そのため、オスグッド病は急激に身長が伸びた子に起こりやすいといわれています。

オスグッド病の診断

整形外科などでレントゲンを撮ると、お皿の下の脛骨粗面の骨隆起が確認されます。
またお皿の下から、脛骨粗面の圧痛が特徴です。

初期の症状ではレントゲンでの骨変化は確認されない事もあるため、MRIなども有効な手段です。

オスグッド病の治療

先ほどオスグッド病のメカニズムについて説明しました。

膝の曲げ伸ばしを繰り返す事で骨への負担を強める事が原因なので、痛みが強い時は安静、運動の制限をする事が大切です。また患部に熱感や腫れが出現しやすいため運動後のアイシングも大切です。

また大腿四頭筋の硬さを改善するためのストレッチや脛骨粗面にストレスをかけないようにする事が大切となります。

ここからは理学療法士目線からオスグッド病の予防、リハビリについて解説していきます。

オスグッド病の予防・リハビリ

まずオスグッド病になりやすい人の特徴として大腿四頭筋の硬さが挙げられます。

この筋肉が固いと注意!

大腿四頭筋は太ももの前面にあり、大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋からなります。
主に膝を伸ばす働きがあり、膝を曲げることで伸ばされます。

その中でも大腿直筋は唯一、骨盤に付着しており、股関節と膝関節の二つの筋肉をまたぐため二関節筋と呼ばれます。
オスグット病では大腿四頭筋の中でも特にこの大腿直筋が問題となることが多いです。

オスグッド病になりやすい子供を自宅でチェック

あなたの子供がオスグッド病になりやすいのかどうか?自宅でチェックすることが出来ます。
当てはまる子供が「膝が痛い」と言ったらオスグッド病の可能性が高いです。

膝の硬さチェック

うつ伏せに寝て、踵とお尻を近づけるようにして膝を曲げていきます。
その際に踵とお尻の距離が遠く、くっつかなかったり、お尻が浮き上がってしまったりすると大腿四頭筋の硬さが疑われます。

(厳密にいうと大腿四頭筋のうちの大腿直筋という股関節と膝をまたぐ筋肉の硬さが主な原因です。)

スクワット動作のチェック

骨盤が前傾しており膝への負担が少ないスクワット

骨盤が後傾しており脛骨粗面に負担が大きいスクワット

スクワットをする際に、骨盤が後ろに倒れている後傾位となる場合はオスグッド病になりやすいです。

大腿直筋はオスグッド病の患部である脛骨粗面から骨盤までくっついています。

骨盤が後傾位となると、脛骨粗面から骨盤までの距離が長くなるためより強く引っ張る力が加わってしまいます。

大腿直筋がゴムだと仮定すると、骨盤後傾位では前傾位よりもゴムが伸ばされるために、より強い力が加わるイメージです。

普段の姿勢でも骨盤後傾でいる事が多い人は要注意です。

足首の硬さチェック

約10°あればOK

つま先が上を向く背屈という動きに制限があると膝へのストレスを強めてしまいます。
膝を曲げる動作は足首が背屈する動きが伴って起こります。
この背屈に制限があると、膝が十分に曲がらず結果的に骨盤後傾位となってしまい膝へのストレスを強めてしまいます。約10°あれば問題ないです。

オスグッド病はストレッチでリハビリ!

オスグッド病のリハビリのポイントは3つです。

リハビリのポイント!!

●大腿四頭筋の柔軟性を改善させる

●足首の柔軟性を改善させる

●骨盤前傾位での膝を曲げる運動を学習する

の3点です。

この3つのポイントを改善するリハビリの為のストレッチを4つご紹介していきます。自宅でも出来ますのでチャレンジしてみてください。

オスグッド病のストレッチ①大腿四頭筋

寝たまま踵とお尻を近づけます。反対側の足を曲げることで、骨盤が固定されしっかりと伸ばすことが出来ます。

オスグッド病のストレッチ②足首

後ろの踵は浮かさずにつま先は真っ直ぐ前を向きます

オスグッド病のストレッチ③ハムストリング(太もも裏の筋肉)

※ハムストリングスの硬さは骨盤を後傾させます

骨盤をしっかりと起こした状態で膝を伸ばし体を前に傾けます。

ダメな姿勢・骨盤が倒れている

骨盤が倒れた状態ではしっかりとストレッチ出来ません。

オスグッド病のストレッチ④殿筋

※殿筋の硬さは骨盤を後傾させます。

足を組み体を前に傾けます。この時も骨盤をしっかりと起こしましょう。

オスグッド・シュラッター病・専用のサポーター

現在ではオスグッド・シュラッター病・専用のサポーターも開発されています。
今回紹介するサポーターを作っている三進興産は靴の「アキレス」が全額出資した会社で
足のトラブルに関して研究を続けています。

このサポーターは衝撃吸収力と圧力分散性能を実現するということで医療の現場で高く評価されています。

オスグッド病とよく似た膝の障害

ジャンパー膝

その名の通りジャンプ動作の多いスポーツに好発し、オスグッド病と同様、大腿四頭筋の硬さが原因で起こります。

オスグッド病は脛骨粗面が患部ですが、ジャンパー膝の場合は膝のお皿の下にある膝蓋靱帯に起こる障害です。

正確には膝蓋靱帯炎と呼ばれます。ほとんどが膝蓋靱帯部に痛みを訴えますが、時折お皿の上の大腿四頭筋腱に痛みを訴える事があります。

基本的な予防のリハビリや、なりやすい身体特徴はオスグッド病と類似しています。
ジャンパー膝もオーバーユースが原因となるので痛みが強い場合はスポーツを休んで安静にする事が必要です。

関連:ジャンパー膝の治し方・ストレッチの方法

まとめ

●オスグッド病は成長期の子供に多く、急激な骨の成長に筋肉の長さが追いつかない事でなりやすい

●痛みを我慢し無理をすると骨が膨隆し、この膨隆は治らないので注意を

●予防、リハビリは大腿四頭筋の柔軟性の改善、足首の柔軟性改善、ハムストリングス・殿筋の柔軟性改善、スクワット動作の改善がポイント

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