シンスプリントの原因・治療・テーピング・ストレッチ・全知識

足のスネが痛い。よくある事です。しかし単なるスネの痛みではないとしたらしょうでしょうか?

特にジャンプしたり走ったりするスポーツ選手の場合はシンスプリントかも知れません。

今回は「すねの痛み」であるシンスプリントについて解説します。

シンスプリントとは

すねの内側の下1/3に痛みが発生するケガです。時に外側に痛みが出る事もあります。

特に走ることの多いスポーツになりやすく、部活を始めたばかりやランニングを始めたばかりの人になりやすいのも特徴です。

正式な診断名は脛骨過労性骨膜炎といいます。

シンスプリントになりやすい人

  • 走ったりジャンプを繰り返す・使い過ぎ(オーバーユース)の人がケガをします。
  • 15歳前後のスポーツをしている人に多いです。
  • 女性に多いです。

すねの骨(脛骨)に付着している筋肉が運動により何度も伸び縮みする事によって、脛骨の表面の骨膜を引っ張る事で炎症が生じて起こります。

シンスプリントになりやすいスポーツ

●マラソン
●サッカー
●バレーボール
●バスケットボール
●野球

などです。

シンスプリントの症状

症状
初期の段階

●運動の後にすねの内側に違和感が出る程度です。

症状の悪化すると

●運動時に痛みが出ます。

●足のすねの内側の痛みによってスポーツが困難となります。

●日常生活にも支障が出る事もあります。

●脛骨の内側を押すと圧痛があります。

さらに症状が悪化すると

●疲労骨折になります。

※あまり痛みを我慢して運動を続けていると治療期間が長くなります。

シンスプリントの症状の重さは4つ

シンスプリントの症状

ステージ1
痛みはあるが軽い運動により治る

ステージ2
軽い運動により痛みがなくなるが、運動後にまた痛みが出る。

ステージ3
日常生活には支障はないが運動中に痛みが出る。

ステージ4
痛みが常にあり、日常生活にも支障をきたす。

ステージ1・2では運動に支障がないため、シンスプリントを見逃してしまう事が多いです。

そのまま放置して運動を続けていると悪化して、スポーツ復帰まで長期間かかるため注意が必要です。

シンスプリントの原因となる筋肉

シンスプリントの主な原因となる筋肉について解説していきます。

腓骨と脛骨

すねの外側にある細い骨を腓骨、内側にある太い方の骨を脛骨といいます。腓骨と脛骨の周りの筋肉がシンスプリントの原因となります。

腓腹筋

腓腹筋

ふくらはぎにある筋肉で、大腿骨の遠位部から始まってアキレス腱となり踵に付着します。

この筋肉の役割

膝を曲げる
足首の底屈(つま先を下に下げる動き)

ヒラメ筋

腓腹筋の深部にある筋肉で脛骨から始まってアキレス腱となり、かかとに付着します

この筋肉の役割

つま先を下に下げる動き(足首の底屈)

後脛骨筋

脛骨と腓骨から始まって足の裏の骨(舟状骨、楔状骨)に付着します。

この筋肉の役割

つま先を下に下げる動き足(首の底屈)
足の裏を内側に向ける動き(足の内反)

長母趾屈筋

腓骨から始まって足の親指の根本に付着します。

この筋肉の役割

足の親指を曲げる

長趾屈筋

脛骨から始まって親指以外の指の根本に付着します。

この筋肉の役割

親指以外の指を曲げる

シンスプリントはなぜ起きる?

シンスプリントのメカニズム
つま先立ち

ダッシュ

ランニング

ジャンプ動作

をすると

つま先を下に向ける足首の動き(足首の底屈)

つま先を上に向ける足首の動き(背屈)

が繰り返されて筋肉が伸び縮みします。

何度も繰りかえすと骨膜にストレスがかかります。

そして炎症が起こり、すねの痛みが起きシンスプリントになります。

ですので筋肉が硬くなったり筋力が弱ったりするとシンスプリントとなりやすいです。

シンスプリントの原因

スポーツ選手の中でも特に注意しないといけない人がいます。当てはまらないか?チェックしてみてください。

原因① 扁平足・足のアーチが機能していない

足には衝撃を吸収したり、バランスをとって安定させるのに重要な”アーチ”と呼ばれるものが存在します。

わかりやすいのが土踏まずの部分です。この土踏まずの部分を内側縦アーチと呼びます。

この内側縦アーチが潰れてしまって機能していないと運動時の衝撃を吸収出来ず、脛骨にストレスがかかりシンスプリントとなりやすくなります。

扁平足と呼ばれる土踏まずが乏しい足は内側縦アーチの働きが乏しく、シンスプリントになりやすいといえるでしょう。

また足は唯一地面と接している部分なので、全身に影響を与えやすいため、このアーチの機能不全から膝や腰、肩などにも怪我の原因を作ることがあるので非常に大切な部位となります。

原因② かかとの骨が傾いている

立った状態でかかとを後ろからみてみましょう。

正常はかかとの骨が真っ直ぐ直立ですが、内側や外側に傾いている場合があります。

かかとの骨が内側に傾いているのを回内足、外側に傾いているのを回外足と呼びます。

このどちらもシンスプリントになりやすい状態です。

回内足の場合

回内足では正常と比べると、後脛骨筋がより強く引っ張られる状態となります。

この繰り返しによってシンスプリントを発症させてしまうのです。

頻度としてはこの回内足が原因でシンスプリントになるケースの方が多く見受けられます。

回内足になる原因としては後脛骨筋や長母趾屈筋、長趾屈筋の筋力低下や足首の背屈(つま先が上に向く動き)の可動域制限があげられます。

回外足の場合

回内足ではランニングやジャンプの際の衝撃を吸収出来ずに、より筋肉や骨膜にストレスをかけてしまいシンスプリントを発症させてしまう事もあります。

回外足となる原因としては後脛骨筋やヒラメ筋、腓腹筋の柔軟性が低下している事が多いです。

足首の捻挫の怪我を過去にしていると、この回内足や回外足になる可能性が高まります。

捻挫後、痛みが引いたからといってリハビリを怠って競技復帰すると様々な怪我の原因となるため注意が必要です。

③ シューズが悪い

古いシューズでクッション性が乏しかったりすると、より足への衝撃が強まるためシンスプリントになる可能性が高まります。

原因④ アスファルトでばかり走る

走行するのが硬い路面の場合、すねに衝撃が来ますので注意が必要です。柔らかい土のグラウンドで走ることをお薦めします。

原因⑤ スパイクで走る

サッカーや野球のスパイクで長時間グランドをランニングする事もあまり望ましくありません。

体力作りでランニングトレーニングする場合はランニングシューズに履き替えるようにしましょう。

シンスプリントの治療

シンスプリントは走りすぎなど(オーバーユース)による原因が多いため、痛みが生じていれば安静にする事が大切です。

特に運動時にも痛みが生じてしまっている場合はステージ3になりつつあるので注意が必要です。

また筋肉、骨膜に炎症が起こっている状態なので運動後にはアイシングが重要となります。

それ以外では整形外科や接骨院などでは患部を温めるホットパックや超音波などの温熱療法が施行される事が多いです。

重症化すると疲労骨折に至る事がありますが、手術は行わずに、保存療法(組織を摘出したり、外科的な処置を行わない治療)で経過を見る事がほとんどです。

根本的に治すためにはシンスプリントの原因となっている筋肉の硬さや働きを改善する事が大切です。

シンスプリントの治療法

●スポーツを休止

●安静

●アイシング

●温熱療法

●手術はしない事が多い

●ストレッチや筋トレで筋肉の質を高める事で完治をめざす。

シンスプリントのリハビリはテーピング・ストレッチ・筋トレ

シンスプリントのリハビリについてストレッチ、筋トレ方法、テーピングについて解説していきます。

シンスプリントのストレッチ

アキレス腱のストレッチの要領で伸ばしたい方の足を後ろに引いて、踵が床から離れないようにして体重を前にかけていきます。

後ろ足のつま先を真っ直ぐ前に向けておく事が大切です。

その状態で30秒以上伸ばします。反動をつけないよう、ふくらはぎが伸びている事を感じながら行う事が大切です。

後脛骨筋トレーニング

用意するもの:セラバンドというゴムチューブを使用します。

足の裏を床につけたまま、親指の方向にセラバンドを引っ張ります。

前脛骨筋トレーニング

セラバンドを使い、足首を上に向ける方向にセラバンドを引っ張ります。
この時に足の指が曲がってまま行う事がポイントです。

足趾屈筋トレーニング

タオルを床に置いて、足の指でたぐり寄せます。ポイントは土踏まずの部分が盛り上がるように一回一回深く握り込む事です。

シンスプリントのテーピングの巻き方

用意するもの:キネシオテーピング

①足首を90°曲げた状態にします。

②足の甲から張って足の裏を通り、脛骨の内側に沿って張っていきます。足首は90°を保ったままで皺が寄らない程度にテープを引っ張って張ります。

③ ②よりも少しずらして同じ走行に同様に張っていきます。

④痛みの出ている部分を覆うようにふくらはぎを巻くようにテープを張ります。

完成です。
※写真の見栄え上タイツの上から張っていますが、実際は直接肌に張ります

まとめ

●シンスプリントはすねの痛みで、走ったり、ジャンプしたりのオーバーユースによって発症する。

●ふくらはぎの筋肉の硬さや筋力手低下によっておこりやすい

●踵の骨の傾きがあるとシンスプリントになりやすいため注意

●予防、リハビリにはふくらはぎの筋肉、足の指の筋肉の機能向上がポイントである

桜井佑葵(理学療法士)●文

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