妊娠悪阻(つわり)で入院したい!原因と症状と治療法を教えます。

本を片手に考える女性

たかがつわり、されどつわり!
つわりは実際に経験した人でないと分からないですよね。

ここでは、妊娠中の悪阻(つわり)についてその原因や期間、どのように悪阻と向き合えばいいのかなど紹介していきます。

妊娠悪阻とは

妊婦さん
つわりと悪阻とは本来同じ意味ですが、妊娠中にムカつきや吐き気を催し実際に吐いてしまうのが「つわり」と言われています。

一方、「妊娠悪阻」とは、つわりがヒドくなり日常生活を送るのが困難になった状態を厳密に区別し、「妊娠悪阻」と言っています。

「つわり」は8割の妊婦さんが悪阻になると言われているので、ほとんどの妊婦さんは経験する症状です。

人によってそのツラさは個人差があり、妊娠中の悪阻は当たり前という風潮がありますので、あまり重要視されていません。

しかし妊娠している本人はかなり辛いですよね。

周囲にも迷惑をかけるという罪悪感やストレスなどから、重症化させてしまうケースや低体重児など胎児にも影響してしまうなど、実際には決してつわりを軽くみてはいけません。

妊娠悪阻はいつからいつまでの期間?

時計

妊娠悪阻というものは、妊娠中ずっと続くわけではありません。

また、ある日突然始まり、予兆も無く終わる人も多いです。

これがますます周囲から心配されにくくなったり、軽くみられる原因になっています。

つわりは、大体、妊娠5週目から6週目の間で始まり、16週目までに自然に収まっていきます。

つわりの酷さも個人差があるので、最初から酷い人もいれば、「これがつわりというものかしら?」というような軽い人もいます。

妊娠悪阻の症状

ここでは、つわりではなく「妊娠悪阻」の症状について教えていきますね。

以下の症状に当てはまる場合には、病院で適切な処置を受けましょう。

  • 吐き気で水が飲めない。
  • 1時間に3回以上嘔吐した。
  • 妊娠してから自分の体重の5%以上体重が減少した。
  • 胸のムカつきや吐き気のために仕事や日常生活が送れない。
  • 吐き気やムカつき幻覚も出た。

日本ではまずありませんが、欧米では妊娠悪阻を重症化させてしまった結果、意識不明の昏睡状態になり、死亡したケースもあります。

定期検診を受けていればまずあり得ない話なのですが、つわりは重症化すると大変だという認識は持っていましょう。

妊娠悪阻の診断

医師

大きく分けると、3つの大きな項目に分かれています。

以下の項目で、1つでも症状がひどく歩行などが難しい場合には、「妊娠悪阻」という診断で、入院や仕事を休んだほうがいいなどの診断書を出してもらえます。

妊娠悪阻の診断①問診・観察

妊娠悪阻の診断でまず妊婦さんの症状を問診(尋ねる)したり観察(顔色、手足の色やしびれ、倦怠感など)し、異常がないかどうかを判断します。

それ以外にも、お腹の張り、めまい、ふらつきなど悪阻の症状には個人差もあります。

妊娠悪阻の診断②血液検査

嘔吐が酷く熱などの感染症が疑われる場合には病理検査なども稀に行われます。

嘔吐症状により脱水症状や電解質バランスの異常が現れているかを調べます。
また嘔吐症状などは、以下の2点が重要になります。

  • 1時間に3回以上の嘔吐
  • 嘔吐に伴う体重の5%以上の体重減少

妊娠悪阻の診断③尿検査によるケトン体の有無の検査

つわりが酷くなると、栄養が取れなくなり体は飢餓状態になります。

飢餓状態とは体が死ぬのを防ぐためにSOSを出している状態です。

SOSを出されると、通常は食べ物からの糖分をエネルギーに変える機能が、蓄えていた脂肪から作り出されます。それが「ケトン体」です。

ケトン体とは

ケトン体は「非常時のエネルギー」です。

ケトン体が異常に作り出されると、体の中が酸性に傾きます。

最悪の場合「ケトアシドーシス」と呼ばれる吐き気、意識障害(意識がもうろうとして動けなかったり話せなかったりする状態)や死亡するという事態に陥ってしまう可能性があります。

ケトアシドーシスを引き起こすと、胎児にも影響します。

 

*注意:ケトン体は体が非常時でなければ通常は出ません!

ですので、通常のつわりでケトン体というのは血液中にもほとんど出ず、尿中には全く出ません。

ケトン体が出てしまったら妊娠悪阻です。

妊娠悪阻の治療

妊娠悪阻の治療は、まず悪阻のために失った栄養や電解質分を補うことから始めます。

妊娠中ですので、基本的には投薬治療などはせず、一般的な点滴やカウンセリングなどのストレス対処療法などが一般的です。

しかし、妊娠悪阻の症状があまりにも酷い場合には母体を助けるために、妊娠中絶もしなければならない場合があります。

ですので、妊娠悪阻といえども注意が必要です。

点滴の頻度とタイミング

点滴は、嘔吐や脱水症状のための電解質(リンガー液)点滴や栄養失調を補うためのブドウ糖を入れた点滴などを行います。

頻度やタイミングなどはかなり個人差があり、妊娠悪阻の重症度にもよるので、医師の指示に従いましょう。

妊娠悪阻の入院

実際にほとんどの方は入院しません。

しかし入院する場合には妊娠悪阻の他に切迫流産の恐れがあるなど、他の要因も絡んだ入院が多くなります。

どうなると入院なの

大事なことは、「日常生活が妊娠悪阻のために送れない」ことと、「仕事ができない」
ということです。

または妊娠悪阻の他に出血、お腹の張り、腰痛などが一緒に起こっている場合です。

入院期間は

妊娠悪阻が収まり、血液検査や尿検査などで異常が見られない場合になれば、直ぐに退院できます。

ですので、通常は3日間から1週間ほどで退院が多いです。

しかし、場合によっては切迫流産や持病の病気などの合併症により、安定期や出産まで入院する場合も稀にあるので、注意が必要です。

*妊娠悪阻が収まっても、検査の数値が異常であったり、異常なまま改善しないと退院できず入院が長くなります。

入院費用は?保険はきく?

妊娠悪阻と診断されれば、それは正式な病気です。

ですので、通常の病気と同じ保険が適用されます。

さらに年収の低い人は最低限の医療費しか支払わなくていい高額療養費制度も利用できます

高額療養費制度の申請の窓口

高額療養費制度は問い合わせ先が保険証によって違います。

①被保険者証に、「○○健康保険組合」、「全国健康保険協会」、「○○共済組合」と書かれている方
→ 記載されている保険者までお問い合わせ下さい。

②被保険者証に、「○○国民健康保険組合」と書かれている方

→ 記載されている国民健康保険組合までお問い合わせ下さい。

被保険者証に、市区町村名が書かれている方

→ 記載されている市区町村の国民健康保険の窓口までお問い合わせ下さい。

被保険者証に、「○○後期高齢者医療広域連合」と書かれている方

→ 記載されている後期高齢者医療広域連合までお問い合わせ下さい。

また、他に子供がいる場合には市町村によっては、レスパイト制度という子供を泊りや時間制で安く見てくれる補助制度などもあります。

短期間施設ではない専門トレーニングを受けて認可されている家庭が、お子さんを見てくれると安心ですよね。

一度、市役所に相談してみるのもおすすめです。

レスパイト制度は市町村によって名前が違う場合もあります。

ですので、この記事を最寄りの市町村に見せて相談してみて下さい。

妊娠悪阻のときの食べ物

おかゆ

出来る限り吸収しやすい食べ物を食べましょう。

また、ムカつきなどの軽減する食べ物は個人差があり、妊婦さんによって違います。

またつわりの酷い人は、糖分の入った飴などを携帯し、血糖値が急激に下がりすぎないようにしましょう。

*逆に急激に上がりすぎてもいけません。ですので、飴や甘い飲み物などは一気に食べたり飲んだりせずにこまめに食べたり飲んだりするようにしましょう。

妊娠悪阻でも仕事にいかなければならない場合

つわりでも仕事に行かなくてはいけない場合も多いです。そのような場合には、以下のことも参考にしてください。

診断書を作成してもらう

産婦人科では妊娠悪阻について、診断書を作成してくれます。

また産婦人科以外でも持病などがある人は、かかりつけの病院で診断書を作成してもらえますので、診断書まず会社に提出しましょう。

つわりが終わるまでの仕事の軽減などを話し合う

会社に妊娠悪阻が終わるまで仕事を自宅に持ち帰る案や、車の運転は自分でしないなどの話し合いや相談をしましょう。

つわりが酷い場合はできるだけ自分の体を休めたり、協力を頼む

自分の一人の身体ではなく、子どもがすでに生きているという自覚を持ちましょう。

とはいっても仕事仲間や上司には理解が全くない人も多いので、事前に話し合いを設けたり、具合が悪い場合には診断書を提出して休める体制を整えておきましょう。

まとめ

つわりは妊娠悪阻という正式な病気になる一歩手前の危ない状態です。

妊娠悪阻になると最悪の場合には母子ともども危険に晒されてしまいます。

診断は血液検査や尿検査などで脱水症状やケトン体の有無を調べ、治療は体に有害な影響を与えるケトン体の排除や栄養補給などを中心に行われます。

妊娠悪阻は軽く考えていると重篤な症状を引き起こすので、周囲の理解を求めるように準備しましょう。

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