妊娠高血圧症候群の原因と症状を知って入院治療しよう。食事と予防法も

この記事を読んでいる人は妊娠高血圧症候群と診断された、または血圧が高いと心配されていると思います。

元気な赤ちゃんを産むためにも妊娠高血圧症候群の原因・症状・治療について解説をしていきますね。

妊娠高血圧症候群の定義

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に以下の基準にどれか1つでも当てはまる場合を妊娠高血圧症候群と呼びます。

「妊娠高血圧症候群 ガイドライン2018」によると、

  • 妊娠20週以降に高血圧症と診断される
  • 収縮血圧140mmHg以上
  • 拡張期血圧110mmHg以上
  • 1日に尿中たんぱく質0.3g以上

20週前に高血圧と診断されたり、浮腫みだけなどでは、妊娠高血圧症候群と呼ばれません。

高血圧妊娠合併や妊娠高血圧腎症などに厳密に区別されるようになりました。

妊娠高血圧症候群の原因

妊娠高血圧症候群の原因は厳密には分かっていません。

という事は、妊婦さんであれば誰でもなりうる可能性があるのです。

原因は分かっていませんが、以下の人は健康な妊婦さんよりもなりやすいと言われています。

  • 妊娠前から高血圧と診断がされている
  • もともと血圧が高めである
  • 家族に高血圧と診断をされている人がいる(父母や叔母などの近しい親戚)
  • 糖尿病か糖尿病予備軍であると言われている
  • 不規則・不摂生な生活をしている
  • 15歳以下か40歳以上
  • 肥満

その他にも、甲状腺の異常や遺伝子病(遺伝子自体が病気の遺伝子や病気になりやすい弱い遺伝子などを持っていて、遺伝子の異常がある人達がなる病気)や、持病があり処方箋薬などを定期的に飲んでいる人なども妊娠高血圧症候群になりやすいです。

妊娠高血圧症候群の症状

妊娠高血圧症候群は、軽度のうちはあまり自覚症状がありません。

ですので、定期的に血圧測定器で測定することをおすすめします。

家庭用の血圧計でも大丈夫です。

無自覚のまま血圧が高いままを維持していると、徐々に進行し、以下の症状が出てきます。

足首・指などのむくみ
(指輪がはまらない、靴下などの跡がはっきりとつく、正座ができにくいなど)

目のかすみ
(物が2重に見えてきたり、今まで視えていたものが、見えにくくなるなど)

頭痛

子癇(けいれん)

子癇は主にけいれん発作を起こします。
さらに下記のような症状もでます。

  • お腹のおへそより上の辺りが痛くなったり、お腹が張りやすくなる
  • たんぱく質尿(病院での検査でないと分かりません)
  • 腎臓の数値の上昇とともに腎機能の低下や炎症(これも病院での検査でないと分かりません)

子癇発作の後遺症は?

最悪の場合には、早産や死産という事態になってしまいます。

また子癇は妊娠高血圧症候群の重症化した人に現れるので、母体にも影響があります。

特に心臓や腎臓などの臓器障害(臓器の機能が普通の人たちのように健康的に機能せず、病気や機能不全に陥ってしまう事)を引き起こす可能性が非常に高いです。

赤ちゃんへの影響は

最悪の場合は、死産です.

死産以外の場合でも発育不全や胎盤剥離などを起こしやすくなり、母子ともに大変危険です。

帝王切開になるケースも

妊娠高血圧症候群の場合には、帝王切開になる場合もあります。

帝王切開の場合には、以下のような場合に起こります。

  • 胎児の呼吸が減少しているとき(トコメーターなどの検査をします。)
  • 胎盤剥離などを起こしかけている時
  • 胎児が大きすぎて自然分娩できにくい場合
  • 母体の体調が悪く、胎児を子宮に維持できない場合
  • 高血圧が治療にも関わらず効果がなく、母子ともに危険な状況の場合

※胎児が成長しており、帝王切開できる状況にあるという条件が前提になっています。

それ以外にも、医師の判断によっては帝王切開になる場合がありますが、母子ともに助けたいために行われますので、あまり怖がらずに医師の判断に従いましょう。

妊娠高血圧症候群の治療

医師

妊娠高血圧症の治療は3つの大きなカテゴリーに分かれています。

最近の研究では、減塩療法などより塩分摂取はできるだけさせない治療法が取られる傾向にあります。

妊娠高血圧症候群の治療①「安静」

出来る限り安静にしてリラックスすることが大切です。

安静にすることにより、緊張がほぐれたり、下大動脈とよばれる大きな血管が安静にすることにより血流の流れがよくなるため、血圧が下がるようになります。  

妊娠高血圧症候群の治療②「食事療法」

妊娠して急に体重が増えると、体中の血管に圧力がかかり体重が増えすぎると血圧が上がってしまいます。

妊娠しているからと言って摂取エネルギーを多くせず、栄養をバランスよく取ることが必要です。

当たり前ですが、塩分、脂肪、糖分をとりすぎないようにしましょう。  

妊娠高血圧症候群の治療③「薬物療法」

妊娠高血圧症候群は重症度により治療方法が異なります。

けれども軽症や上記の安静・食事療法で高血圧が改善しない場合には、妊娠 中でも使用できる降圧薬により治療を行います。

妊娠高血圧症候群の入院の基準

妊娠高血圧症候群は妊婦さんならば誰でもなる可能性があります。

ですので、入院基準は産婦人科医師により異なります。

ただし、ポイントになるのか以下の3点です。

軽症でも高血圧の改善が見られない場合

軽症であっても、妊娠高血圧症候群は腎臓や胎児に影響します。

また軽症であれば血圧が妊娠中期を過ぎれば改善しだすのですが、全く改善が見られない場合は入院しながら原因を探したり、治療を行います。

胎児の発育が悪い場合

母体の高血圧は改善しても、胎児の心音や発育が悪い場合には、胎児の状態を考えて入院してもらい、モニタリングしながら治療を行っていきます。

母体の状態が安定しない・もしくは悪くなっていく場合

胎児の状態はいいのですが、逆に母体の状態が悪い場合にも入院措置を取ることが多いです。

入院しながら母体の体調を安定にさせ、胎児と共に体調の経過を観察したり治療を行います。

妊娠高血圧症候群の人の食事

おかゆ

妊娠高血圧症候群の食事は難しいです。

なぜならば、「バランスよく食べる、しかし血圧を下げつつカロリーは下げすぎない」という使命があるからです。

なので、妊娠前に食べていたカロリーは落とさず、満遍なく栄養素が取れるように工夫しましょう。

また、妊婦さんは子宮が大きくなるにつれて腸が圧迫されるので、下痢や便秘になる人が多いです。

個人差があるので、下痢になるのか便秘になるのかは自分の体質によるでしょう。

そこで、できるだけ繊維質を取り、繊維質と共に十分な水分(ノンカフェインのお茶や白湯、常温の水など自分の飲みやすい物)を取るようにしましょう。

献立例

1日目

朝食:
雑穀米、野菜たっぷりスパニッシュオムレツ、サラダ、ヨーグルト、フルーツ
昼食:
温野菜のゴマダレかけか胸肉のバンバンジー(ご飯が食べたい人は雑穀米を少々)
夕食:
雑穀米、白身魚のムニエル、付け合わせのサラダ、ほうれん草のナムル、野菜スープか具沢山味噌汁

2日目

朝食:全粒粉パン(なければ普通のパン1枚か2枚)、ヨーグルト、目玉焼き、フルーツ
昼食:野菜多めのパスタ、海藻サラダ、卵スープ
夕食:雑穀米、鶏肉グリル(ポン酢やバルサミコ酢などをかける)、中華風卵スープ、杏仁豆腐

3日目

朝食:雑穀米、オムレツ、小松菜としらすのお浸し、サラダ
昼食:チキンソテーの甘酢あんかけ、具沢山の野菜スープ、フルーツ
夕食:雑穀米、サラダ、タラや白身魚、鮭のホイル焼き(ポン酢)、具沢山味噌汁、サラダ


調味料や素材を工夫して、できるだけ塩分は控えめに、また病院などで配られるメニューなども参考にしてください。(病院によっては無いところもあります)。

場合によっては医師に相談するのもおすすめです。

妊娠高血圧症候群の産後の後遺症

妊娠高血圧症候群はその後何十年たった後の高血圧、心臓の異常、脳血管の異常、糖尿病、高脂血症などのメタボリックシンドロームの可能性が普通の経産婦さんよりも何倍にもリスクが増えています。

また、腎臓の機能を妊娠高血圧症候群で弱めた場合には、腎疾患などになりやすいという研究結果も出ています。

ですので、出産したからと言っても注意が必要です。

妊娠高血圧症候群の予防

最初の子の妊娠の時に妊娠高血圧症候群だったからと言って、二人目の子どもの時もかかるとは限りません。

しかし、妊娠高血圧症候群になった人は、次の子どもの時もなりやすくなります。

妊娠高血圧症候群の予防①バランスの取れた食事

妊娠高血圧症候群の治療法でも言いましたが、食事に勝るものはありません。

塩分控えめにしたり、他の調味料で味を付けるなどお料理にも工夫をしましょう。

また、妊婦さんは胃腸の調子が悪くなりやすいため、繊維質を多く取るように心がけましょう。

妊娠高血圧症候群の予防②適度な筋肉を付ける

代謝が上がると、臓器に血が多く流れるようになり、中性脂肪やコレステロールなども少なくなります。

また妊娠に大敵な冷え性などにも効果があります。

かといって、激しい運動などは時間も足りずに中々続きません。

そこで、以下のエクササイズがおすすめです。

・ストレッチ:
気がついたらいつでも行いましょう。気持ち良い程度の強度で行うことで習慣づけられます。

・自重運動:自分の体の重さを使いトレーニングする方法です。強度を調節でき、ケガをしにくいのがおすすめです。

まとめ

妊娠高血圧症候群は妊娠20週を過ぎてから高血圧になる症状であり、高血圧以外にもたんぱく尿や浮腫み、酷くなると痙攣発作などを起こし母子ともに危険な状況になります。
主な原因ははっきりとは解明できていません。
症状は軽度から重度により異なります。
そのため治療方法も重症度に合わせて治療していきます。
予防方法は食事療法を中心に行いましょう。

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