切迫流産の原因と兆候・症状は?入院で安静も仕事はどうする?

流産とはお腹の赤ちゃんが様々な原因により、22週目以内、すなわち赤ちゃんがお母さんのお中でしか育たない期間に子宮内で亡くなってしまい、字のごとく体外に流れてしまう事です。

切迫流産とは、お腹の中で赤ちゃんは生きているのですが、何らかの原因により出血や腹痛などの流産の兆候がないにも関わらず、流産しそうな状態を言います。

しかし、切迫流産は流産と違い、お腹の赤ちゃんは生きていますので、赤ちゃんを出産できる時期までお腹に居させることが最重要になってきます。

切迫流産のリスクは大きい!

切迫流産による胎児のリスクは色々なことがあります。主なものは以下のものです。

胎児の低酸素状態

切迫流産の場合、母体からお腹の赤ちゃんに酸素が上手く渡っておらず、心音が止まってしまう場合があります。

また、この状態が続くと(長くは続かずに直ぐに症状がでます)、赤ちゃんが低酸素状態に陥り、そのまま死産などの最悪のケースを招きかねません。

胎児の成長阻害

赤ちゃんは、お腹の中でお母さんから栄養をへその緒を通してもらっていますが、それが切迫流産になると上手く行われなくなる場合が多いです。

そのため、胎児の臓器不全素状態に陥り、そのまま死産などの最悪のケースを招きかねません。

(心臓、肝臓、すい臓、腎臓など私たちの体になくてはならないものが完全にできていない状態にあり、完全な状態で活動できないこと)や脳の成長などにも影響が出てしまいます。

母体側の問題

切迫流産の際には、お母さんが感染症にかかっていたり、筋腫や腫瘍などの発見や成長により、胎児が流産してしまう場合もあります。

切迫流産の原因

切迫流産の原因は様々であり、これが原因!という原因は個人個人により違います。

それでは、妊娠の時期別に切迫流産の原因で多いものを以下に挙げて行きます。

早期流産(妊娠12週目未満)

胎児に染色体異常があるために切迫流産を起こしてしまうことが一番多いです。

染色体とは私たちのDNAと呼ばれる体の中の情報が詰まっている本のようなものを作りあげている設計図のようなものです。

その遺伝子の設計図にエラーが起こっており、上手く修正できないために、胎児自身が子宮内に留まれずに流れてしまいます。

その他には、持病、母体側の問題(子宮筋腫や腫瘍)、感染症にかかってしまった場合などが続きます。

後期流産(13週目から22週目まで)

この時期の切迫流産は、母親側の問題により流産することが多くなります。

例えば、胎盤が子宮から剥がれてしまったり、子宮と卵巣を結ぶ管にポリープができて炎症を起こしたり、子宮を支えている組織自体が弱くなり、子宮や卵巣が下腹部に下がって来て、それが子宮口を圧迫し、子宮口が開いてしまう状態なども切迫流産の原因になります。

さらに生殖器が原因以外にもお母さんの免疫異常の病気が原因により、赤ちゃんが子宮内に留まれずに流産の原因になるという場合もあります。

切迫流産の症状

突然の出血や腹痛

妊娠初期は誰にでも出血やオリモノが出る時期です。

また、初期特有の腹痛や腰痛、お腹の張りなども流産とは全く関係なく起こります。

切迫流産の場合には、痛みの頻度や出血が徐々に酷くなっていく特徴があります。

個人差があるので、痛みも出血も少しの人がいる

切迫流産の怖いところは、個人差があるので、明確な症状にも違いが出てしまうところです。

妊娠自体が妊婦さんによって症状に個人差があります。

妊婦さんの中には、生理痛程度の痛みで治まったために病院に行かずにいたら切迫流産だったという場合もあります。

ですので、異変や違和感を感じた場合には直ぐにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

こんな兆候があったら気をつけよう

切迫流産の症状は個人差がありますが、以下のような症状が出ている場合には気を付けたり安静にしたりして過ごしましょう。

おりものや出血

血液の塊(レバー状)のどす黒い色の出血、または真っ赤な鮮血などがあった場合には、安静にしつつ、病院へ相談しましょう。

腹痛

鈍痛から激しい痛みに変わってきた場合、または鈍痛が一向に収まらない場合なども切迫流産の可能性が高くなります。

さらに、腰痛や下腹部の痛みなどの特徴もあるので注意しましょう。

お腹の張り

膨満感や下腹部が腫れているような圧迫感が続く時は、家事や仕事を休んで安静にしていましょう。

それでも治らない場合には、病院へ直ぐに相談しましょう。

切迫流産の自覚症状

ある人も無い人もいます。

妊娠の症状自体が個人差があり、妊婦さんによって、その症状や酷さが違います。

ですので、痛みや出血が酷い人はもちろん切迫流産の可能性が高いのですが、それらの自覚症状がなくても、切迫流産の可能性が高い方もいます。 

 

切迫流産の治療法

残念ながら有効な治療方法は安静にしているしかないと言われています。

ですので、妊娠12週までの切迫流産の可能性がある場合には、ひたすらベッドで安静にしているしかありません。

また、絨毛膜下血種と呼ばれる血液の塊が子宮内にたまっている切迫流産には、安静にしていることが最善の治療方法です。

切迫流産の薬

妊娠12週までの有効な治療薬は現在ありません。

ですので、対処療法(妊婦さんの症状に合わせて治療していく治療方法)が主な治療になります。

対処療法では、お母さんが感染症にかかっている場合に、その感染症に対しての抗生物質(妊婦さんでも大丈夫なもの)やお腹の張りを防ぐ薬などが妊婦さんの症状別に処方されます。

ですので、妊婦さんによっては薬を処方されない方もいます。

自宅安静で注意すること

医師から安静、または自宅安静と言われた場合は自宅に居てもいいですし、仕事を持っている方は仕事へ行ってもいいでしょう。

ただし、腹痛や出血が無い場合です。お腹が張っていたり、腹痛、出血がある場合には家に居て横になっていましょう。

寝方は? 

妊娠が22週未満なので、そこまでお腹の大きな妊婦さんはいません。

しかし、華奢なかたや腰痛持ちの方は、横になって休む方が腰に負担もかけずに楽でしょう。

抱き枕でねる女性

このように、抱き枕を抱いていても楽です。

腰痛やお腹の張りが辛い場合には、足の間にクッションを挟むのもおすすめです。

足ではさんで寝る

腰に負担もかけずに寝ることができます。

自宅安静の場合どこまで動いていい?

これは妊婦さんの切迫流産の具合によってかなり動ける度合いが違ってきます。

動いても大丈夫な人は、簡単な家事ならば行っても良い程度には動いても問題無いと言われます。

ただし、絶対安静の場合には、トイレと食事以外は動いてはだめという人もいますので、医師に詳しくどのくらいの活動ができるのか最初に聞いておきましょう。
 

上の子の面倒はどうすればいい?

市町村が行っている「レスパイト制度」(子どもを短期間市町村が認定した里親さんに預けたり、一日短時間預かってもらう制度)を利用するようにしましょう。

*市町村により、その制度は違いがありますので、詳しくは自分の市町村の児童福祉課に相談してみましょう。

また、会社や自分のパートナーとも相談し、できるだけ安静にしているようにしましょう。

パートナーの中には、「休んでばかりいて」と思う人もまだまだ日本は多いです。

しかし、無理をして切迫流産になった人は毎年たくさんおり、皆さん必ず後悔します。

ですので、できるだけこの時期は自分と赤ちゃんの事を第一に考えて行動しましょう。

自宅安静はいつまで?

これも個人差があります。多くの方は安定期に入るとともに赤ちゃんも落ち着き、仕事や家事・育児なども徐々に通常通り行えるようになります。

しかし、妊婦さんによってはそのまま安静にしていないといけない人もいるので、まずは医師と自分の体調を相談しながら自宅安静解除になる時期を決めていきましょう。

*無理は絶対に禁物です!ですので、なるべく自分を追い詰めず、安静にしていましょう。

切迫流産で入院する場合

切迫流産で入院する場合にも、自宅安静と同様に様々なレベルがあります。大きく分けると4つに分かれて行きます。

入院安静レベル

1.病院内で安静

病院に入院はしますが、病院内は自由に歩き回れるレベルです。

病院内併設のコンビニエンスストアにも医師の許可があれば買い物に行けるでしょう。

2.病棟内で安静

産婦人科内の病棟は動いても大丈夫です。

産婦人科内の他のお母さんたちとも体調が良ければ、談話室などでおしゃべりもできます。

3.室内安静

個室ならばバス・トイレは併設です。

個室でなく4人部屋などではトイレ・バスまでは歩いて行ってもいいですが、それ以外はベッドでひたすら寝ていなくてはいけない状態です。

4.ベッド上安静

最も切迫流産がひっ迫している状態の妊婦さんです。

ですので、ベッドの上は自由に体の向きなどを変えてもいいのですが、歩いたり入浴やトイレも制限される状態です(尿道カテーテルなどを使用する場合もあります)

入院期間

個人差があるので、数週間から数か月、長い人は3か月以上も入院している場合があります。

医師の診断が必要なので、自分であまり判断しないようにしましょう。

保険は効く?

医師の診断により、切迫流産により要入院と診断された場合には、医師からの正式な診断書も出ますし、医療保険も適用されます。

ただし、治療には保険が適用されますが、個室や食事のレベルなどは保険適用でない場合も出てきますので、病院に詳しく聞くのをお勧めします。

切迫流産だけど仕事を休めない場合の対処法

医師に診断書を書いてもらいましょう。

診断書は費用が掛かりますが、万が一の場合に備えて、体調が優れない場合にはおすすめします。

会社によっては、医師の意見書だけでもいいという会社もあるので、会社の有給や保証制度も出産前に調べておくのをおすすめします。

切迫流産の予防

切迫流産はとにかく、安静第一です!

ですので、まずはできるだけ自分の体と赤ちゃんの体調を考えてあげてください。

予防ではないですが、効果があると思われるものは以下のものです。

  • よく笑い、パートナーや家族と楽しい時間を過ごす
  • ストレスをためない、溜めても解消する方法を見つける(TVを見たり、音楽を聴いたりなど)
  • 禁煙(家族全員):直接的な因果関係は分かりませんが、総合的に良くありません
  • ポジティブにメンタルを保つ

日本の医学は世界でもトップレベルです。ですので、まずは医学を信じて医師を信じて毎日を楽しく過ごしてください。

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