不安や恐怖を和らげる「セロトニン」の増やし方

何かに対して強い不安や恐怖を感じてしまったり、突然起こるパニック発作に悩まされていたりしていませんか?
そして、薬以外の不安や恐怖を和らげるる対処法はないの?と思ったりしていませんか?

不安や恐怖心が起こるメカニズムや不安や恐怖心を和らげるセロトニンを増やす方法について説明していきます。

不安や恐怖を感じるメカニズム

本来、不安や恐怖というのは、身に危険が迫っている時に感じるものです。

ですが、特に身に危険が迫っていなくても、不安や恐怖を感じてしまうことって誰にでもありますよね。

何故なのでしょうか?

まずは、不安や恐怖心が起こるメカニズムについて説明致します。

不安や恐怖は、脳の過剰反応

私たちは、見たり、聞いたり、体験したりすることを通して、様々な情報を得ています。
そして、得た情報は、全て、脳の海馬と呼ばれる場所に集められ、知識として記憶保存するべき情報かどうか判断されるとともに、すぐ近くにある扁桃体と呼ばれる場所に情報伝達されます。

扁桃体は、情動の中枢。
喜怒哀楽といった快・不快の感情を生み出すことに加えて、身に危険が迫ると、不安神経ネットワークを活発化させ、不安や恐怖心を生じさせます。

扁桃体が発生させる不安や恐怖心は、本来は、危険が迫っていることを知らせるサインです。

ですが、パニック障害や強迫性障害などの不安障害を発症してしまう人や不安や恐怖を感じやすい人では、扁桃体にある不安神経ネットワークが敏感に反応しやすくなっていて、危険が迫っている状況でないにもかかわらず、不安神経ネットワークが活性化し、不安や恐怖を感じてしまう状態にあると言われています。

つまり、不安や恐怖が起こる原因は、脳の扁桃体の敏感さ、不安神経ネットワークの過剰反応なのです。

セロトニン分泌不足が不安や恐怖を持続させる

セロトニンとは、脳の神経伝達物質の1つで、扁桃体の不安神経ネットワークに直接作用し、不安や恐怖を抑えるとともに、脳の興奮を抑える抑制性神経に働きかけ、GABAを分泌させて、脳の興奮を沈め、気持ちを穏やかにする働きがあります。

特に身に危険が迫っていない状態で、不安や恐怖が起こってしまった場合は、このセロトニンが脳内で分泌されて、不安や恐怖を治めてくれるのですが、セロトニン不足や上手く分泌されない状態があると、不安や恐怖がなかなか治まらず持続してしまいます。

また、不安や恐怖は、ストレス。
ストレスとなる不安や恐怖が繰り返し起こると、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが分泌され、交感神経の働きが活発化。
脳の血流が悪くなり、セロトニンを分泌する神経の働きが低下して、脳内セロトニン分泌が低下してしまいます。

実際、パニック障害や強迫性障害などの不安障害やうつ病では、脳内セロトニン分泌の低下があることが分かっています。

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脳の働きを良くして、セロトニン分泌を増やそう

セロトニンは、不安や恐怖を抑えるためには、感情をコントロールするためには、欠かせない物質でもあり、また、セロトニンを分泌するセロトニン神経は前頭葉に多く集まっていることから、思考力や記憶力、集中力を維持するためにも必要な物質です。

では、どんなことをすると、脳内セロトニンの分泌を増やすことができるのでしょうか?
ストレスによって働きが低下してしまったセロトニン神経を活発な状態に戻すことができるのでしょうか?

朝、太陽の光を浴びる

朝日を浴びることで、セロトニン分泌が増えることは、よく知られています。

でも、セロトニンの分泌が悪くなると、朝起きるのが億劫で、朝起きて太陽の光を浴びるのが難しかったりします。

そんな時は、カーテンをレースにする、寝床を窓の近くにする等、朝起きなくても、自然に、朝日を浴びることができる環境を作ってみましょう。

別に、朝日を直接浴びなくなくても、セロトニンの分泌は増えます。

セロトニンを増やす食べ物を食べる

セロトニンは、体内で作られるホルモンです。
そして、体内でセロトニンを作るために必要な栄養素が必須アミノ酸(体内で作ることが出来ないアミノ酸)であるトリプトファン、ビタミンB6、鉄です。

セロトニン分泌を増やす刺激も必要ですが、セロトニンを作る原料がない状態では、どんな刺激を与えても何の意味もありません。

セロトニンを増やすためには、セロトニンを作るために必要な栄養素を含む食べ物を積極的に摂取することも大切です。

トリプトファンを多く含む食べ物

トリプトファンの1日摂取量の目安: 体重1kgあたり2mg(体重50kgの場合、100mg)
ただし、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)によると、トリプトファンの摂取量は1日220mg摂取するのが望ましいとされています。
*各食品の()内の数字は含まれるトリプトファンの量

1:豆腐、納豆、味噌、醤油などの大豆製品
<目安>
豆腐1丁(300g~400mg)
高野豆腐1枚 (120mg):おすすめ
なんめのきな粉(青大豆)大さじ1杯(20mg)
納豆 1パック 40mg~45mg

2:チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
<目安>
パルメザンチーズ 大さじ1杯 (6mg):おすすめ
プロセスチーズ(6個入り1箱) (290mg):おすすめ
ヨーグルト無脂肪無糖100g (59mg)
ヨーグルト低脂肪無糖100g (51mg)
ジャージ牛乳100ml (53mg)
普通の牛乳100ml  (45mg)

3:米などの穀類
<目安>
スパゲッティ 乾燥麺1人前 (150mg)
玄米ご飯 茶碗1杯 (150mg)
そば1人前 (120mg)
うどん1人前 (110mg)
ソーメン乾燥2束 (110mg)

4:ごま・ピーナッツ・卵・バナナ
<目安>
ゴマ 大さじ1杯 (30mg):おすすめ
ラッカセイ 50個 (270mg)
カシューナッツ 70粒 (360mg)
アーモンド100粒 (220mg)

干し柿2個(25g)
ココナッツミルク100g(25mg)
乾燥バナナ100g(35mg)
生バナナ1本(10mg)
キウイ黄色1個(38mg)
キウイ緑1個(14mg)

目玉焼きMサイズ1個(110mg):おすすめ
生卵、ゆで卵Mサイズ1個(90mg):おすすめ

5:肉、魚類
豚ひれ100g(焼き)(500mg)
鳥胸肉100g(焼き)(490mg)
牛もも肉100g(焼き)(350mg)

かつおぶし1g(10mg):おすすめ
*参考:薄削りの場合、ひとつまみです。
たたみイワシ2枚(88mg)
スルメいか1匹100g(590mg)
うるめいわし丸干2個(55mg)

*動物性トリプトファンは、動物性たんぱく質が邪魔して、脳内に運ばれにくいので、ビタミンB6を多く含む食品(ゴマ、玄米、バナナなど)と一緒に摂取する必要があります。

このようにトリフトファンは、たくさんの食品に含まれています。
ですので、1日3食きちんとバランスの取れた食事を心がけている限り、トリプトファンが不足して、セロトニンが作れなくなる!という事態になる可能性は低いです。

前頭葉を鍛えて、セロトニンを増やす

セロトニンを分泌しているセロトニン神経は、前頭葉に多く集まっています。
ですので、前頭葉を鍛える前頭葉トレーニングを行うことで、セロトニン分泌を促すことができます。

また、五感って御存知ですか?
五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、聴覚のことを言います。
この5つの感覚に心地よい刺激を与えることでも、セロトニンを増やすことができます。

icon-caret-square-o-right 「どうやって前頭葉を鍛えるの?前頭葉トレーニングのコツと方法」

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