ストレスで脳が萎縮する?ストレスが脳に与える悪影響と脳萎縮を防ぐ方法について

ストレスが関係する病気

脳が萎縮するというと、認知症や加齢による老化を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は、ストレスによっても、脳の萎縮、特に、前頭葉と海馬の萎縮が起こってしまうことがあります。

なぜ、ストレスによって、脳、それも、人が生活を送る上で最も重要な前頭葉や海馬が萎縮してしまうのでしょうか?

脳(前頭葉や海馬)が萎縮すると、どんな症状が出てくるのでしょうか?どのような生活上の支障が起こってくるのでしょうか?

ストレスが脳に与える悪影響について説明するとともに、ストレス性脳萎縮を防ぐ方法や回復法についても紹介していきます。

ストレスで脳が萎縮するのは、何故?

現代社会は、ストレス社会。
ストレスを感じない日なんてない!というぐらい、プライベートでも、仕事でも、ストレスが溢れています。

そんなストレス溢れる生活で、最も影響を受けるのが脳、特に、前頭葉と海馬です。

ストレスを感じると、ストレスから身を守ろうとして、コルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。

コルチゾールが分泌されると、体は危険を察知して、臨戦態勢。
血管を収縮させて血圧を上昇させます。

血管が収縮すると、脳への血流が悪くなり、脳の神経細胞が働くために必要な酸素やエネルギーが十分に届かなくなります。

前頭葉は、脳の司令塔。
記憶力や思考力、集中力や注意力、意欲や感情など、ありとあらゆることに関与しています。

また、海馬は、記憶の中枢。
目や耳などから入ってきた全ての情報は、一旦、海馬に集められ、一時記憶としてインプットされます。

あらゆることに関与している前頭葉、全ての情報が集まる海馬、どちらも、脳の他の部位と比べて、たくさんの酸素やエネルギーを必要とします。

だから、ストレスが加わわった時、最も影響を受け、働きが悪くなるのが、前頭葉と海馬です。

そして、ストレスが一時的なものでなく、継続的に加わると、前頭葉と海馬の神経細胞は、酸欠とエネルギー不足により、情報をやり取りする樹状突起を伸ばすことができなくなり、萎縮していきます。

これがストレスで脳が萎縮するメカニズムです。

icon-caret-square-o-right 「前頭葉って何?前頭葉の働きと機能、役割」

前頭葉や海馬が萎縮すると、どうなる?

ストレスが継続的に加わったことで萎縮してしまった脳。
前頭葉や海馬が萎縮してしまうと、どんな症状や生活への支障が起こってくるのでしょうか?

物忘れが増える

前頭葉は、記憶力なかでも記憶しておいたことを思い出す力に関係しています。
ですので、前頭葉が萎縮し、働きが悪くなると、覚えていたはず、覚えたはずののことが思い出さなければいけない場面で、なかなか思い出すことができない物忘れ症状が出ます。

また、海馬は、記憶のインプットに関係しています。
海馬の神経細胞が萎縮し、働きが悪くなると、覚えておくことが困難になります。

具体例:
買い物に行き、帰宅してから、「あ!○○を買い忘れた!」と気がつく。
覚えたと思っていても、すぐに忘れてしまうので、メモが手放せない。

感情のコントロールができなくなる

脳は、約150億個の神経細胞の集まりです。
そして、それぞれの細胞は、神経伝達物質と呼ばれる物質を分泌して、情報のやり取りを行っています。

特に、前頭葉は、感情や意欲に関係するセロトニン系神経やドーパミン神経が多く集まっています。

前頭葉や海馬の神経細胞が萎縮し、樹状突起が伸ばせなくと、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌が悪くなります。
結果、感情が上手くコントロールできなくなったり、やる気がでなくなったりします。

具体例:
イライラしやすくなる。
些細なことが気になって、不安になりやすい。
突然、悲しくなり、涙が止まらなくなる。
やる気が出ない。

計画的に、段取りよく行動することができなくなる

前頭葉は、物事の先を予測しながら行動していく計画力や実行力に関与している場所です。
ですので、ストレスによって前頭葉が萎縮し、働きが悪くなると、物事を段取りよく進めるための優先順位を上手くつけることができなくなり、1つのことをこなすのに多くの時間がかかってしまいます。

具体例:
夕食などいくつかの料理を作る際に、いつも以上に時間がかかる。
仕事の効率が悪く、はかどらない。

注意散漫となり、ミスが多くなる

前頭葉と海馬は、脳に入ってきた全ての情報が集まる場所でもあります。
そして、集まってきた情報を瞬時に適切に処理しています。
こうした前頭葉や海馬の情報処理能力が悪くなることで、注意力の低下や集中力が続かない症状がでてきます。

具体例:
カギや水道の閉め忘れが目立つようになる。
うっかりミスが多くなる。

同時に2つ以上のことを行うのが難しくなる

同時に2つ以上のことを行うためには、それぞれに注意を払いながら、そして、それぞれの作業の進行状況を記憶しながら、こなしていかなければいけません。

そうした注意分配と作業記憶にも前頭葉は関与しています。
ですので、前頭葉が萎縮し、働きが悪くなると、1つ1つなら物事をこなすことができるが、2つ以上同時に行おうとすると、混乱して上手く進めることができなくなってしまいます。

具体例:
パソコンで必要な資料を探しながら、かかってきた電話の応対をしようとすると、間違えるなどのミスが出る。
料理をしている最中に、急な雨で洗濯物を取り入れると、料理を焦がすなどミスが出る。

朝、なかなか起きることができない

前頭葉が萎縮し、働きが悪くなると、セロトニンが分泌されにくくなります。
すると、朝起きることが億劫になったりします。

セロトニンは、24時間周期で覚醒睡眠リズムを刻む体内時計の働きを調節する重要な物質でもあり、また、睡眠ホルモン「メラトニン」を作る材料でもあります。
ですので、セロトニンの分泌が悪くなると、覚醒睡眠のリズムが乱れることに加えて、「メラトニン」が不足することで、夜の睡眠が浅くなったり、ぐっすり眠ることができなくなります。

結果、朝、なかなか起きることができなくなるのです。

図2

icon-caret-square-o-right 「幸せホルモン「セロトニン」の増やし方」

このように、ストレスによって脳(前頭葉や海馬)が萎縮し、働きが悪くなると、様々な症状が出てきます。
そして、ひどい場合は、日常生活や仕事に支障をきたすようになります。

実際、ストレスが原因で起こる「うつ病」や「パニック障害などの不安障害」では、前頭葉の血流低下が認められ、セロトニンやドーパミンの分泌も低下しています。

 icon-caret-square-o-right 「パニック発作がなかなか治らないのはストレス性の脳萎縮が原因?パニック発作を減らす方法とは」

認知症などの病気が原因で前頭葉の萎縮、機能低下が起こっている場合は、神経細胞そのものが破壊されているため、回復不可能な状態で、症状を改善することは非常に困難です。

ですが、ストレスによる脳の萎縮や機能低下は、神経細胞そのものは死滅していないため、脳に適切な刺激を与える(前頭葉を鍛える、前頭葉をトレーニングする)ことで、症状の改善や機能回復が可能です。

前頭葉や海馬の働きが悪くなっているかも?もしかして萎縮している?と思う場合は、脳を刺激する効果のある前頭葉を鍛える脳トレーニングを行ってみましょう。

icon-caret-square-o-right 「どうしたら前頭葉を鍛えることができるの?手軽にできる前頭葉を鍛える方法とコツ」

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