どうやって前頭葉を鍛える?手軽にできる前頭葉を鍛える方法とコツ

ストレスが関係する病気

テレビや雑誌などを見ていると、「生活を充実させるには前頭葉を鍛えると良い!」とか、「認知症予防には前頭葉を鍛えよう!」などと、前頭葉を鍛えることを勧められる機会が多いですよね。

そこで、今日は、認知症予防の専門として数々の脳トレ書籍出版、週刊誌や会員誌用の脳トレ問題の制作を手掛けているとよだクリニック院長に、前頭葉を鍛えるコツ、そして、家庭で手軽に取り組むことのできる前頭葉トレーニングの方法について説明していただきます。

前頭葉を鍛えるとは?前頭葉を鍛える重要性

前頭葉を鍛えるとは、普段あまり働いていない脳細胞が目覚める新たな刺激を与え、ドーパミンやセロトニンと呼ばれる脳内伝達物質を増やしたり、脳細胞同士の情報ネットワークを増やしたり、情報ネットワークをスムーズにすることで、生活が穏やかに、支障なく送ることができるよう前頭葉の機能維持や機能アップを図ることを言います。

前頭葉は、脳の司令塔と呼ばれ、記憶力や注意力、集中力や思考力、コミュニケーション能力など、生活を営む上で必要不可欠な働きに関与している場所です。

ですので、前頭葉の働きが低下してくると、物忘れやうっかりミスが増えてくるようになり、生活の中でストレスを感じる機会が増えてきます。

また、前頭葉は、年を重ねることで、最も早くから機能低下する場所とも言われています。

このように、前頭葉の機能低下は、生活に直結しますし、年を重ねれば、必ず前頭葉の働きは衰えてきます。
だから、テレビや雑誌などで「前頭葉を鍛えましょう!」と前頭葉を鍛える必要性が騒がれているわけです。

ちなみに、「前頭葉を鍛える=脳血流アップ」と思っておられる方がおられるかもしれませんが、「前頭葉を鍛える=脳血流アップ」ではありません。

確かに、脳の血流が増えると、脳細胞にたくさんの酸素やエネルギー源である糖分が運ばれるので、脳は活発に働きやすくなります。
ですが、それは、働きやすい環境になっただけで、前頭葉が関与している脳の働きがアップしているわけではないため、本当の意味の前頭葉を鍛えるとは、少し違います。

icon-caret-square-o-right 「前頭葉の働きをチェック!無料脳年齢テスト」

icon-caret-square-o-right 「前頭葉って何?前頭葉の働きと機能、役割」

icon-caret-square-o-right 「前頭葉の機能が低下すると?前頭葉機能低下症状と原因」

準備中
・前頭葉にあるブローカ野とは?
・前頭葉が障害・損傷されると、どうなる?

前頭葉を鍛えるコツ3つ

前頭葉は、記憶、感情、思考、ありとあらゆる情報を取りまとめ、判断し、指示する脳の司令塔です。
そんな前頭葉は、常日頃から使われてはいますが、鍛えるとなると別。
普段通りでは、鍛えることができず、ちょっとしたコツが必要です。
前頭葉を鍛えるために必要なコツについて紹介いたします。

感情刺激を加える

普段と同じように、例えば、主婦の方なら料理や掃除、お勤めしておられる方なら通勤、学生さんなら勉強をいつもどおりに行っていては、前頭葉は使われているけど、鍛えることはできません。
鍛える、つまり、前頭葉の働きを良くするためには、いつものことであっても、感情を刺激するように行う必要があります。

と言われても、よく分からないですよね。
例をあげて、説明しますね。

例えば、料理。
キャベツの千切りをするとします。
この時、なんとなく刻んでいてはダメです。
なんとなく刻むのではなく、「今日は少し細く切ってみようかな」とか、「今日は、いつもより細く切れたぞ」等と気持ちを入れながら、キャベツの千切りをします。

掃除なら、「綺麗になると、気持ちがいいよね。」とか、
通勤なら、周囲にも目を向けて「あ、綺麗な花が咲いているぞ!」と新しい発見をしてみたり、
勉強なら、「いつもは解けないとすぐ諦めるけど、今日は粘ってみるか!」
といった具合に、いつものことで、なんとなくやり過ごしていることを、もう1人の自分に声をかけるように、自分が置かれている状況を楽しみながら行うようにします。

感情を入れて取り組むことで、たとえ、いつもしていることであっても、前頭葉が鍛えられ、前頭葉の働きが良くなります。

また、家事の合間に、ちょっとした隙間時間に、感情が誘発される脳トレパズルやクイズに取り組むのもオススメです。

図2:どちらが脳活性化が起こりやすと思いますか?

icon-caret-square-o-right 「懐かしい!楽しい!がポイント。前頭葉の働きを良くする活性化させる脳トレーニングとは」

普段と違う状況や順序でする

はじめはキツかったのに、繰り返し行っているうちに、キツいと感じなくなった経験ありませんか?
もしくは、最初は、できなかったことでも、繰り返し行っているうちに、できるようになったという経験ありませんか?

どちらも、「学習能力」「慣れ」による現象ですが、「学習してしまったこと」「慣れてしまったこと」では、前頭葉は、刺激されにくいと言われています。

ですので、普段と違う新しい事が前頭葉を刺激するためには必要です。

ですが、普段と違う新しいことと言われても、思いつきませんし、いつも通りの生活が送れることこそが、一番の幸せですよね。

でも、いつも通りの生活では、前頭葉は刺激されず、活性化しない!

じゃあ、どうすればいいの?
そんな声が聞こえてきそうですね。

どうすればいいのか?
それは、いつも通りの生活を送りながら、いつもと違うことをします。

どういうことかと言うと、
定期的にウオーキングしている人なら、ウオーキングのコースを時々変えてみます。
部屋を模様替えするのもいいです。

ポイントは、頻繁に行うと脳が混乱し、逆にストレスになったりしますので、頻繁ではなく時々、いつもと違う雰囲気、環境に身をおいてみるようにします。

ウオーキングも模様替えも難しいという場合は、例えば、朝起きたら、洗顔して朝食を食べるという行動順序を、朝食を食べてから洗顔するという行動順序に変えるなど、いつもの決まった行動パターンを少し順番を変えるだけでもOKです。

そうすることで、前頭葉が刺激され、活性化し、前頭葉の働きがよくなります。

2つのことを同時にする

2つのことを同時にすることを、専門的には、「デュアルタスク」といいます。
2つのことを同時にしようとすると、先の展開を予測しながら、優先順位を決めて、次々と、こなしていかないといけません。
この一連の作業は、まさに、脳の司令塔である前頭葉がしっかり機能しているからこそ、できることであり、前頭葉をフル回転させることです。

つまり、2つのことを同時に行う「デュアルタスク」は、前頭葉を最も刺激する行為であり、働きを良くする行為です。


・前頭葉を鍛えるメリット~メンタル強化、集中力、注意力、判断力、記憶力アップ~

家庭でできる前頭葉トレーニング法5つ

最後は、具体的に、前頭葉を鍛えるトレーニング方法を5つ紹介させていただきます。
どれも、家庭で手軽にできる前頭葉トレーニングです。
1つでもよいので、生活の中に取り入れて、行ってみましょう。

運動

運動することによって、脳の血流量が増えます。

脳は、体の中で、一番多くの酸素とエネルギー源を必要とし、大量に消費する場所ですから、血流が増えて、たくさんの酸素とエネルギー源が届くことで、前頭葉が活発に働きやすくなります。

ただ、運動であれば、なんでも良いというわけではありません。
前頭葉を鍛える事が目的で運動するのであれば、筋トレなどの無酸素運動ではなく、ウオーキングなどの有酸素運動もしくはセロトニン分泌を促進する運動である必要があります。

毎回違うコースでウオーキング

ウオーキングは、今まで運動習慣がなかった方でも始めることができる最も手軽な運動です。

ウオーキングには、前頭葉や海馬(記憶を司る部位)のアセチルコリン神経を活性化する作用があります。

アセチルコリン神経が活性化すると、脳内に大量のアセチルコリンが分泌され、血管が拡張し、脳血流がよくなる事が分かっています。
また、アセチルコリンには、脳神経細胞のダメージを軽減する作用もあり、ストレスや老化から脳を守ってくれる重要な物質です。

「1日5000歩。少し息が弾む程度の早歩きを7.5分以上含めたウオーキング」を週に2~3回、しかも、「毎回コースを変える」のが前頭葉を鍛えるウオーキングとしてオススメです。

ラジオ体操

ラジオ体操と聞いて、懐かしい子供の頃の記憶が蘇った方もおられるのではないでしょうか?

この懐かしいラジオ体操には、実は、先に紹介したウオーキングに勝るとも劣らない効果があリます。

ラジオ体操は、ご存知の通り、リズミカルな音楽に合わせて、決められた動作を行います。
しかも、ラジオ体操は、1区切り3分程度の中で、13種類の動きを行う全身運動です。

ラジオ体操を行うことで、全身の血液循環が良くなり、脳にたくさんの酸素とエネルギー源を届ける事ができるようになります。

また、ラジオ体操のようなリズムに合せて行う運動を行うと、脳内でセロトニンと呼ばれるホルモンの分泌が促されます。

セロトニンは、別名「幸せホルモン」。
気分を落ち着かせてリラックスさせてくれたり、記憶力を高める効果などがあります。

院長制作の脳トレで前頭葉を鍛える

前頭葉は、記憶、言葉の発語、感情、思考、集中力、注意力など様々な機能に関与している場所です。

「前頭葉を鍛えること=これらの前頭葉の機能を高めること」とするならば、脳トレは前頭葉を鍛える一番の方法と言えます。

ただ、脳トレで前頭葉を鍛える際に注意しないといけない事が2つあります。

1つは、計算問題ばかり、言葉の問題ばかりではなく、色々な種類、ジャンルの脳トレに取り組むことです。

そうすることで、前頭葉の機能をまんべんなく総合的に高めることができ、本当の意味での前頭葉を鍛える事ができます。

もう1つは、脳トレは、勉強ではありません。
ですので、単に、問題を解くだけでなく、「問題を解く+遊び心」、ワクワクする!懐かしい!食べてみたい!行ってみたい!など感情が刺激されるような要素が必要です。

そこで、皆さんに楽しく前頭葉を鍛える脳トレに取り組んで頂こうと、今まで院長が制作した脳トレパズルやクイズの中から選抜して、毎週水曜日または日曜日に1問ずつ投稿しています。

認知症の専門家であるお医者さんが作った前頭葉を鍛える脳トレにチャレンジしてみませんか?

icon-caret-square-o-right 「前頭葉を鍛える脳トレクイズチャレンジ」

1/fゆらぎ音楽を聴く

音楽は、聞き始めは、前頭葉の働きを高めてくれますが、それは一時的で、その後は、逆に、前頭葉の活動を抑えて休息させます。

これは、音楽によって、脳内伝達物質の1つであるセロトニンが分泌され、セロトニンが前頭葉に作用したためと思われます。

とくに、1/fゆらぎ音楽は、セロトニンの分泌を促す効果が高いです。

音楽を聴くことによって、脳の活動が抑えられてしまっては、前頭葉を鍛えるとは言えないのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

毎日毎日、朝早くから、夜遅くまで仕事や家事、介護や育児をしていると疲れますよね。

前頭葉も、同じです。
働いてばかりでは、疲れてしまいます。
そして、疲れれば、当然、働きが悪くなります。

ですので、前頭葉が最高の状態で働くためには、休息も必要なのです。

つまり、音楽は、前頭葉に休息を与えることで、前頭葉の機能低下を防いでいるのです。

前頭葉を鍛えるというと、働きを良くする、機能を高めることが優先されてしまいがちですが、前頭葉が疲れて働かなくなってしまうことを防ぐことも大切です。

セロトニンの分泌を促す効果が高い1/fゆらぎ音楽を聴いて、脳を休め、日頃溜まったストレスや疲れを解消しましょう!

浪の音

小川のせせらぎ

ここで紹介した2つのサウンドは、参考まで。
別に、紹介したサウンドでなくても、心地よいと感じることができるサウンドならOKです。

マインドフルネス瞑想

瞑想、とは、今ここに意識を集中させることです。

人は、誰でも、意識的にも、無意識的にも、過去のことを思い出してアレコレ考えたり、まだ決まってもいない未来のこと、先のことを勝手に予測したりして、前頭葉を使っています。

そうした常に使われている前頭葉を一時でも休息させることを目的として行うのがマインドフルネス瞑想です。

瞑想を行っているときは、呼吸に意識を集中させます。
そして、頭であれこれ考えない状況を作ります。

瞑想は、音楽を聴いている時と同じで、脳におけるセロトニン分泌を促進させる働きがあり、副交感神経の働きを優位にして、脳の血流を増やすとともに、前頭葉の働きをよくする効果があります。

また、瞑想中は、あれこれ考えることから意識を外すので、脳を休息させることができます。

瞑想のやり方は、非常にシンプルで簡単です。
一度、試してみては、いかがでしょうか?

前頭葉を鍛える瞑想(マインドフルネス)のやり方

1:心地よい場所を選ぶ

静かで落ち着いた場所を選んでください。
マットやクッションなどを使って座り心地の良い場所を用意しましょう。
部屋の中でも外でも良いですが、なるべく静かで、気分がリラックスできる場所がおすすめです。

2:姿勢を整える
座位は、クロスレッグが一般的です。
しかし、慣れていない方は、椅子に座っても構いません。

身体に余計な力が入らず、リラックスできる姿勢をとりましょう!

3:呼吸に意識を向ける
マインドフルネス瞑想の基本は、呼吸に意識を向けることです。

鼻から息を吸い、口から息を吐きます。
息を吐くときには、腹筋を締めて、ゆっくりと吐ききってください。
息を吐き切ると同時に、自然に息を吸い込んでください。
あくまで、自然な呼吸を続けることを意識しましょう!

4:気持ちを観察する
呼吸に意識を向けたら、次に感情や感覚に意識を向けます。
今、どんな気持ちですか?、どんな感覚を感じていますか?

感じた気持ちも感覚も、ただ受け入れるだけ。
良いとか悪いとか判断しないように、深く考えを掘り下げていかないように注意しましょう!

そして、浮かぶ考えや感情によって、気が散ったら、呼吸に意識を向けましょう!
気が散ったら、何も気にせず、呼吸に意識を集中させます。
徐々に心が落ち着いていきますから。

5:終了する
マインドフルネス瞑想を行う時間は、自分の都合に合わせて決めてOKです。
終わる時は、ゆっくりと目を開け、深呼吸をしてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました